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東京家庭裁判所 昭和53年(少)9276号 決定

主文

少年を中等少年院に送致する。

理由

1  罪となるべき事実

司法警察員作成の昭和五三年七月四日付少年事件送致書記載の犯罪事実のとおりであるからこれを引用する。

2  上記事実に適用すべき法条

刑法第一七七条、第六〇条

3  主文記載の保護処分に付する事由

少年の知能、性格、家庭環境、生育歴、非行歴等は、少年調査票、鑑別結果通知書その他一件記録記載のとおりであり、これら本件調査審判に現われた一切の事情、特に少年は、両親の家業多忙を理由に基本的な躾がなされておらず、生活態度、規範意識がルーズであること、交通違反の前歴が多く、その内容も信号無視、速度違反等法規範軽視の傾向が窺われ、保護観察中は免許取消になつていたこともあいまつて違反はなかつたが、保護観察解除後交通違反が再発していること、暴走族関係の不良交友が多く、その中で少年は主体的判断力に欠けるため付和雷同的に問題行動を起していること、少年も保護者も本件非行の重大性に対する認識低く、内省も深まつていないことなどによれば、この際、少年を施設に収容の上、専門家の指導のもとに基本的な生活習慣と規範意識のかん養をはかり、あわせて車を運転する者の責任と交通規則遵守の重要性を認識させることが必要と認め、少年の年齢、非行性の程度等を考慮のうえ中等少年院に送致することとし、少年法第二四条第一項第三号、少年審判規則第三七条第一項を適用して、主文のとおり決定する。

(昭和五三年七月四日付少年事件送致書)

犯罪事実

被疑者D・Y、同D・Tは、A、Bと甘言をもつて女性を自動車内に誘つて強姦することを共謀し、昭和五二年一〇月三〇日午前五時ころ、東京都渋谷区○○町××番地の×○○前において帰宅途中のC子(当時一五歳)を認めるや、同女を姦淫し、その目的を達しようと企て、同女に対し「送つてやるよ、家はどこ」等と言葉巧みに自家用普通乗用自動車(ナンバー第○○××・み・××号)内に誘い込み同所から東京都品川区○○×丁目地先○○埠頭まで「帰して、帰して」と哀願する同女の陰部を共同してもてあそぶ等の暴行を加えながら自動車を疾走させ、更に「やらせないならそれでもいい、俺達は、人を殺しているんだ、お前一人くらい理めるのは簡単だぞ」等と脅迫して、同女が車内から脱出することを不能にし、その反抗を抑圧したうえ、同日午前七時ころ、前記場所に停車した同車内において、前記暴行、脅迫により畏怖している同女の両腕を押えつけて後部座席に押し倒してパンティ、着衣等を剥ぎとり泣き騒ぐ同女を次々に姦淫し、もつて二名以上で現場において共同して、同女を強姦したものである。

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